査定額に納得できない時、キャンセルや交渉はできる?
査定額を見てから断ることは、出張・宅配・店頭のどれでもできます。ただし、どの時点までなら無料で断れるかは、形態と業者の規約で決まり、一律ではありません。
いちばん差が出るのは「同意の署名や承諾の返信をした後」です。この線を越えると、売りたくない額でも契約が成立する場合があります。
この記事では、形態別のキャンセルの考え方と、金額に納得できない時の動き方を書きます。
査定だけで断れる範囲は、形態でほぼ決まる
査定は見積もりです。売買契約はまだ成立していません。提示額を聞いて「今回は見送ります」と言うのは、売り手の自由です。
査定そのものを無料とする業者は多くあります。ただし、無料かどうかは業者ごとに違い、出張費や返送料が絡むと、断った時に費用がかかる場合もあるのです。規約のキャンセルの欄は、申し込む前に確認できます。
見るべき項目は次の4つです。
- 査定だけで断った時の費用(出張費・返送料・手数料)
- 承諾の返信をした後のキャンセルの可否
- 代金を受け取った後の返品や取り消しの扱い
- 申し込みから発送、引き渡しまでの期限
規約の文言が分かりにくい時は、申し込み前にメールで質問すると確実です。回答が文章で残るため、後で「聞いていない」という行き違いも起きません。
出張買取:その場で断れる。8日間の見直し期間もある
出張買取は、業者が自宅や現場に来て査定する形態です。法律上は「訪問購入」にあたります。特定商取引法のルールが適用される形態です。
主な決まりは次のとおりです。
- 業者は、契約の書面を渡す義務がある
- 書面を受け取った日から8日間は、クーリングオフで契約を解除できる
- 8日以内なら、解除の意思を書面で伝えれば、理由は要らない
- クーリングオフ期間中は、売り手が品物の引き渡しを拒める
クーリングオフの詳しい条件や、対象になる品目の例外は、消費者庁や国民生活センターの公開情報で確認できます。品物を渡した後に解除すると、取り戻す手間がかかります。
出張査定で納得できない時は、次の順で動くと無理がありません。
- 提示額の内訳を聞く(本体、バッテリー、付属品がそれぞれどう評価されたか)
- 「他社の見積もりも見たい」と伝え、その場では契約しない
- 押し切られそうなら、書面への署名だけは断る
- 帰ってもらった後で、他社の額と比べて決める
その場で決めさせる業者は、比較する時間を与えません。その業者の額が他社より高いとは限りません。
宅配買取:到着後の査定額を見て、返送を頼める
宅配買取は、箱に詰めて送り、業者の倉庫で査定してもらう形態です。現物を見ずに出す仮の額と、到着後に連絡する本査定の額。この二段階にする業者が多いです。
ここで起きやすいのが、仮査定と本査定の差です。本査定が仮査定より下がるのは、サビ、動作不良、付属品の欠品が見つかるからです。この差は珍しくありません。こうした下がりやすい条件は、工具のサビや汚れは、査定にどう響くかにまとめています。
本査定の額に納得できない時の流れは、次のとおりです。
- 業者からのメールや電話で、減額の理由を確認する
- 納得できなければ、返送を希望すると伝える
- 返送料の負担者を確認する(業者負担の場合もあれば、売り手負担の場合もある)
- 返送された品物が、送った時の状態と同じか確認する
返送料が売り手負担の業者では、断るだけで数千円の出費になることがあります。返送料の扱いは、送る前に規約で確認できます。
宅配では、「承諾」の返信が契約の成立点になっていることが多いです。メールに「この金額で売却します」と返した時点で、キャンセルを受け付けない業者も珍しくありません。承諾の返信は、金額を見て決めてからにしましょう。
送る前の準備としては、型番と付属品の写真を撮っておくと、減額された時に送った状態を示せます。型番の探し方で迷う時は、電動工具の型番は、どこに書いてあるかを読めば困りません。
店頭買取:査定中の「やっぱりやめます」が、最も通りやすい
店頭は、品物を持ち込んで目の前で査定を受ける形態です。提示額を聞いてその場で断れるため、キャンセルで揉めることは最も少ない形態です。
注意したいのは、同意書や買取伝票に署名した後です。署名後は契約が成立します。クーリングオフの対象にもなりません。自分から店へ出向く取引は、訪問購入に当たらないためです。
店頭で額に迷った時は、次のように動けます。
- 「他店も見て考えます」と言って、品物を持ち帰る
- 査定額を店員にメモしてもらうか、自分で控える
- 同じ品物を、別の店や宅配で再査定してもらう
店を回るのが負担なら、持ち込む前に電話で型番を伝えて、おおよその額を聞く方法もあります。ただし、電話の額は目安です。現物を見ると額が変わる例は少なくありません。
提示額に納得できない時の交渉の進め方
金額の交渉は、感情的に言うより、材料を出すほうが通ります。交渉が通りやすい順に、次の3つがあります。
付属品を揃えて出し直す
バッテリー、充電器、ケース、説明書が揃うと、評価が上がります。最初に付属品を省いて出した人が、揃えて出し直して額が変わった例があります。バッテリーを本体と一緒に売るか別に売るかは、バッテリー・充電器は本体と一緒に売るべきかで比べています。
他社の見積もりを根拠にする
「A社は〇〇円と言っていました」という伝え方は、業者にとって具体的な材料になります。ただし、他社の額を盛って伝えるのはやめましょう。確認を求められて、話が崩れて信用を失いかねません。
減額の理由を聞いて、直せるものは直す
汚れや砂ぼこりのような、拭けば落ちるものは、再査定の前に掃除すれば結果が変わります。サビや破損は直せないので、ジャンク扱いの業者に回すほうが早いこともあります。
交渉して数百円上がるだけなら、その場で粘るより、他社に出すほうが得な場合もあります。粘る価値があるかは、他社の額次第です。
他社と比べてから決めると、判断が止まらない
1社の額だけで決めると、その額が高いのか低いのかが分かりません。2〜3社の額が揃うと、「ここが相場の幅だ」と見えてきます。
比べる時は、同じ条件で並べてください。
- 同じ型番、同じ付属品で出す
- 本体のみか、バッテリー付きかを揃える
- 手数料や送料を引いた手取りで比べる
- 上限表記の額と、実際の査定額を混ぜない
上限表記は「最大〇〇円」という業者の目安です。実際の査定額とは別のものなので、同じ列に並べると、比較になりません。
比べる業者の選び方は工具買取業者は、何を基準に選べばよいかに、出張・宅配・持込の選び分けは出張・宅配・持込買取は、どれを選ぶかにあります。
一括査定サイトを使う場合は、連絡が複数の業者から来ることを知っておいてください。詳しくは工具の一括査定サイト、使う前に知っておきたいことで書いています。
断る時の伝え方
断るのが苦手な人は多いです。長い説明は要りません。
「ほかとも比べて、今日は決めません」
この一言で足ります。理由を細かく言うと、業者側が反論を始めて長引きます。メールや電話なら「今回は見送ります。ありがとうございました」で終わります。
しつこく食い下がる業者は、避けて構いません。断った後も連絡が続く時は、国民生活センターなどの消費者相談窓口に相談できます。
売ると決める前に、手元の工具の相場感をつかんでおくと、提示額の良し悪しを自分で判断できます。工具相場ドットコムでは、出典と確認日を付けた相場の幅を確認できます。
よくある質問
Q. 宅配買取で、本査定の後に「やっぱりやめます」は通りますか?
承諾の返信をする前なら、返送を頼めます。承諾後は業者の規約しだいで、取り消しを認めない業者もあるため、返信する前に規約のキャンセル欄を読んでください。返送料を誰が負担するかも、事前に確認できます。
Q. 出張買取で署名してしまいました。取り消せますか?
訪問購入の書面を受け取った日から8日間は、クーリングオフで解除できます。解除の意思は書面で伝えます。期間内なら、品物を渡していなければ、引き渡しを拒むこともできます。迷う時は、国民生活センターの消費者ホットラインに相談してください。
Q. 店頭で一度断ったら、同じ店でもう一度査定してもらえますか?
多くの店は、再来店を断りません。ただし、相場は日々動くため、最初と同じ額が出る保証はありません。付属品を揃えたり汚れを落としたりして出し直すと、評価が変わることがあります。
Q. 複数の業者に同時に査定を頼んでも問題ありませんか?
問題ありません。査定は見積もりなので、何社に頼んでも構いません。ただし、一括査定サイトでは複数社から電話やメールが一度に届きます。連絡手段をメールに絞れる業者を選ぶと、対応が楽になります。
Q. 減額されたのは、業者が不当に下げているからでしょうか?
不当とは限りません。仮査定の時点で分からなかったサビ、動作不良、欠品が理由のことが多いです。減額の理由を聞いて、納得できなければ返送を頼んでください。理由を説明しない業者は、取引を見送る目安になります。